事例

case01石組みの落差工を応用した近自然魚道

場所: 二級河川 岩岳川(福岡県豊前市)
目的: 頭首工の落差を渓床復元型魚道(=近自然魚道)で解消する

出典(論文):福留脩文・有川崇・山路千冬・藤田真二・福岡捷二(2010):魚類の定住利用と河床の安定化を目指した渓床復元型全断面魚道の建設とその効果,河川技術論文集 第16巻,pp.167-172.

対策前の状況:

頭首工(落差1.3m程度)に魚道が無く、ヤマメをはじめとする河川生物の移動ができない状態であった。

対策方法

頭首工の落差部分に、渓流の河床形態を模した石組みの小ステップと小プールを連続させた全断面形式の魚道を設置した。対策のポイントは以下の通り。

①水量が変化しても、魚類が遡上しやすい横断形状とした。
②水が強く当たる場所に大きな石を配置したり、大きな石を基点としてその間に小さな石を配置したりして、洪水時の大きな流体力が作用しても容易には流失しない構造とした。

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対策の結果
  • 頭首工による大きな落差を多段式の小落差に分割したことで、河川生物の移動路が創出された。
  • 設置した魚道は渓流の河床構造に近いため、魚道内にも河川生物の生育・生息空間が形成された。