事例

case05小わざ魚道(ストレートタイプ)

場所: 二級河川 西の川(奈良県吉野郡下北山村)
目的: 頭首工の落差を小わざ魚道で解消する
「小わざ魚道」について

小わざ魚道は、昨今の厳しい財政状況下においても着実に魚道を整備するために、より経済的で効果的な魚道として、山口県土木建築部河川課と浜野龍夫氏(現徳島大学)による共同研究から生まれた。
小わざ魚道の特徴の一つは、小プールと小階段が交互に連続するように粗石(玉石)を配置して、自然の瀬の流況に近い斜路を創出することである。

参考文献:浜野龍夫編著.2016.水辺の小わざ≪改訂増補第二版≫.山口県土木建築部河川課


対策前の状況:

頭首工(落差2.7m程度)には老朽化した既設魚道があった。しかし、この既設魚道には、高流速・多量の白泡の発生・高落差といった問題があり、アユをはじめとする魚類の遡上が困難な状況であった。

対策条件:

アユの専門家から提案された「小わざ魚道」を新設する。

対策方法

①既設魚道を撤去する(一部の側壁は残して使用)。
②既設魚道とほぼ同位置にストレートタイプの小わざ魚道(魚道勾配1/5)を新設する。

小わざ魚道(ストレートタイプ)を設置
一般的な小わざ魚道は扇状であるが、ここでは、工費縮減と現在の河川景観を保全するため、撤去した既設魚道とほぼ同位置に直線的な小わざ魚道を設置した。
片勾配の横断形状を採用
魚道の横断形状は、山側を高く、川側を低い片勾配にすることで、流量の増減に応じて魚類の遡上路ができるようにした。

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対策の結果
  • 機能しなくなった既設魚道に替わり小わざ魚道を設置したことで、アユ等の遡上路が創出された。
  • 対策後には、小わざ魚道をアユが遡上していることが確認された。

※本魚道設計は「たかはし河川生物調査事務所」の監修による