事例

case04西日本豪雨で失われたアユ漁場を近自然工法で再生
case02その後:瀬の本格再生

場所: 一級河川 物部川(高知県香南市)
目的: 治水と環境の両立を図りながらアユ漁場となる瀬を再生する
対策前の状況:

case02の時点では、護岸の本工事が実施されるまでの暫定策として、応急的に復旧した瀬であった。また、確保できた材料の量が限られており、復旧できた瀬の範囲も限定的であった。

対策の流れ
護岸の被災・瀬の流失
(西日本豪雨:2018年7月)
護岸の仮設工事・瀬の応急復旧
(2018年度非出水期)
→case02
護岸の本工事・瀬の本格再生
(2019年度非出水期)
→case04
対策条件:
  • 治水(河岸保護)と環境(瀬の再生)の両立を図ること。
  • 管理の必要な河川構造物ではないこと。
  • 現地にある材料だけを使うこと。
    ⇒河床の玉石(ストックを含む)と工事で撤去予定の巨石や異形ブロック(2t)など
瀬の応急復旧前 瀬の応急復旧後

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対策方法

①直線形に配置された根固めブロックの前面に、巨石などで水制状の突起をつくる。その根固めブロックと水制状の突起の上に玉石や砂利などを覆土する。

②玉石で瀬の外形を造成した上で、巨石を流水に対して安定な向きで河床に埋め込む。巨石の周りには粗めの玉石を投入する。

水制状の突起で水際に凹凸をつける = 護岸前面の流速低減
水制状の突起は、流水によって覆土が徐々に削れると現れるようになっている。これは、川が自らの営力で水際の凹凸をつくっていくことをねらっている。この突起が粗度(流れの抵抗)となって流速を抑制し、河岸保護と瀬の維持に寄与する。
巨石と玉石で河床に凹凸をつける = 河床高の維持
瀬に埋め込んだ巨石が基点となってその周りの河床が安定する。また、この河床の凹凸は、それ自体が粗度となって流速を抑制すると同時にアユ漁場としても機能することを期待している。
対策の結果
  • 対策した箇所は流れの変化に富んだ瀬になった。
  • 対策完了から約1ヶ月後のアユ解禁日以降、再生した瀬は友釣りを楽しむ人で賑わっていた。

この対策は高知新聞(2020年6月1日朝刊)でも取り上げられました。
→詳細はこちら(PDFファイルが開きます)

高知新聞(2020年6月1日朝刊)の記事